会長 君塚 仁彦
(東京学芸大学 教授)
この度、後藤ひとみ前会長の後を継ぎ、本学会の会長を拝命いたしました。微力ながら、本学会の発展と、子どもたちを支える「教育支援協働」の深化のために尽力してまいる所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2018年、本学会は「社会総掛かりで次世代を育成する」という志のもとに産声を上げました。それから時は流れ、学校と地域が手を取り合う「チーム学校」や「地域学校協働本部」といった考え方や仕組みは全国各地で着実に根を張りつつあります。
しかしその一方で、学校現場に目を向ければ、不登校の増加やいじめの問題、そして深刻な教員不足や働き方改革の遅れなど、学校教育を取り巻く困難はより複雑化し、深刻な局面を迎えています。
このような状況において、今まさに、私たちの「教育支援協働」の真価が問われています。教育ニーズが多様化し複雑化する中で、特定の誰かや機関だけに重責を負わせるのではなく、心理や福祉、あるいは社会教育の専門職、地域住民、企業、そしてNPOといった多様な主体が、いかにしてつながり、ネットワークを創り、実効性のある支援を届けられるか。これらに関する教育支援協働に関する知のネットワークの創出こそが、本学会の使命であると考えております。
現在の教育現場は、決して平坦な道ばかりではなく、さまざまな、しかも複雑な課題があります。しかし、皆さんが一人で抱え込む必要はありません。学校を一つの「プラットフォーム」と捉え、多様な専門家や地域の人々と手を取り合うことで、一人では届かなかった子どもたちの心に、光を届けることができるようになります。皆さんの瑞々しい感性と情熱が、既存の枠組みを超えた新しい「協働」の形を生み出す原動力です。
本学会は、学際的な研究者と熱意ある実践者が、倫理観を持ち、互いにリスペクトしながら謙虚に学び合う場でありたいと願っています。現場の切実な声から未来への指針を紡ぎ出していきたいと願っています。これまでの歩みを大切にしながら、若い世代の皆さんと共に、新しい時代の教育のあり方、教育支援協働の姿を探究していくことを楽しみにしております。
これからの教育を担う若い教員の皆様、そして教育支援協働の道を志す学生の皆様に心からの歓迎と期待の声を送りたいと思います。本学会への皆様の温かいご支援とご参画を、切にお願い申し上げます
2025年5月1日
初代学会長 後藤ひとみ
(愛知教育大学 名誉教授・前学長)
情報化や国際化が進むとともに、持続可能性が大きな課題となっている現代社会にあって、子どもたちを取り巻く環境や、子どもたちの教育に求められる課題も大きく変化しており、社会における子ども支援のあり方や教育のあり方の多様性を探るべき時代を迎えています。
このような社会変化の中で、近年、「教育支援」と「教育協働」という営みが、様々な場面で注目されるようになってきました。例えば、2015年12月に公表された中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」と「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」では、学校教員以外の専門スタッフを学校内で組織化し学校改革を促す「チームとしての学校」という考え方や、コミュニティスクール・地域学校協働本部等に代表される家庭・地域や企業等との連携・協働をさらに進める考え方などが教育政策として提起されています。
今後は、学校教育、社会教育、家庭教育、カウンセリング、ソーシャルワークなどのつながりによる豊かな実践を生み出すことが必要であり、学校教員、学校職員、教育行政職、スクールカウンセラー等の心理専門職、スクールソーシャルワーカー等の社会福祉専門職、社会教育関連職、家庭教育・子育て支援職、企業、そして教育支援に携わる地域住民の方々が、学校をプラットホームとして互いに「教育支援」を行いながら「教育協働」を進め、社会総掛かりで次世代を育成する営みが求められます。
このような「教育支援」と「教育協働」による新しい実践事例を集積・交流させ、より充実した実践を生み出すための知の創出は、急激な変化を迎えている現在において喫緊の課題であり、そうした実践を先導できる人材養成のあり方を探ることも重要です。そのためには、教育学や社会福祉学等にまたがる学際的分野の研究を進め、基礎となる研究分野を構築していくことが必要です。
そこで私たちは、子どもたちを取り巻く諸課題に取り組み、新たな実践と研究と教育の循環を生み出すための活動を行うために、ここに「日本教育支援協働学会」を発足させることにしました。
本学会では、第一に、会員の誰もが学会に参加し充実感がもてるよう、会員間の交流の場となるような活動づくりを進めます。第二に、教科専門や教科教育、教職教養、教育支援、教育協働に関わっている研究者と実践者が共に理論と実践を両輪とする実践性に根ざした研究を進め、従来の学会発表や論文にはなじみにくい実践や研究にも価値を見いだして、会員間で共有し、実践と研究をつなぐネットワークづくりを目指します。第三に、企業やNPOによる学会活動へのサポートも得ながら実践事例の共有や支援事例の創出、既存の多様な学会ともつながる企画を実現します。
これらの取り組みには、学校や地域において様々なかたちで子ども支援に携わっている方々の参加が不可欠です。本学会は、「教育支援」と「教育協働」にかかわる人々が参集する場を提供し、子ども支援を促進する新しい研究分野の構築を目指して、相互の「つながり」から広がる、さまざまな教育のあり方を探究してまいります。本趣意をご理解の上、ご参加いただければ幸甚です。
2018年1月10日
(氏名50音順、所属は2018年2月設立時)